不動産の査定のタイミングは売却のどれくらい前が妥当?
もしあなたが家を売ろうかどうしようか、売るとしたらどれくらい前のタイミングで不動産業者に相談すればいいのか迷っているとしたら、ぜひ本章を参考になさってください。
この回では不動産を売るとしたらどれくらい前に査定をお願いすれば良いのか、数字的な指標を出してみます。
■査定のタイミングは「売却活動期間+α」
査定のタイミングをあえて計算式で表現すると、「売却活動期間+α」で表現できます。
宣伝広告、誘客などにかける「売却活動期間」は対象不動産の種類や築年数、あるいは仲介に入る不動産業者の事情にも左右され個別ケースで異なってくるため、実情に応じて必要期間の見積もりは伸長させなければなりません。
「+α」というのは査定期間と仲介業者の選定、そして売却の準備に必要な期間と思ってください。
売却活動に入る前には不動産業者に市場価格を査定してもらいますが、通常複数の業者にお願いすることと思います。
簡易査定といって現場を見ない査定をしてもらい、次に現場を目視して精度の高い訪問査定をしてもらいます。
そして目ぼしい業者をピックアップして実際に仲介に入ってもらいます。
実際の売却活動に入る前には、内見案内の際に邪魔になる荷物の運び出しや清掃も必要です。
清掃業者を入れる場合はその業者の都合も考慮しなければなりません。
これを考えると、査定に関与する業者数にもよりますが、二週間から一か月くらいの「+α」期間を準備したいところです。
「+α」の大よその期間が分かったところで、「売却活動期間」はどのように考えれば良いか、次の項で見てみます。
■売却活動期間はどれくらい?
前項の冒頭でも述べましたが、売却成功を決めるまでの必要期間は物件や不動産業者の実力によって大きく左右されることになります。
その上で、この項ではあえて数字的な参考値を出してみます。
①売れにくい物件は1年間
売れにくい物件にも色々ありますが、対象不動産の存する地域周辺で取引が活発でなく、購入希望者が少ない、あるいは物件の状態や売却条件が良くないケースなどです。
例えば地方にある一軒家などが該当します。
買い手が見つかりにくいケースでは約1年の売却期間を見積もり、上述した+αの1か月を加算して、1年1か月前に査定に出せるようにしましょう。
参考までですが、不動産情報サービスを手掛けるアットホーム(株)の調査によると、一軒家の売却成功にかかる平均期間が11か月だったという結果が出ています。
ただし首都圏による調査であることと、調査対象の人数も限られるのであくまで参考です。
②条件が良い物件ならば6か月
一軒家でも状態の良いもの、築浅のもの、取引が割と活発な地域にあるもので購入希望者が出やすい地域にあるなどのケースでは6か月ほどの売却期間を見積もっておくと良いでしょう。
地方物件でも中心部にあるもの、あるいは一軒家より流通しやすいマンションなども該当してきます。
不動産業者と結ぶ仲介契約は3か月を目安に締結されますからこの期間を目安にしても良いのですが、意外と買い手が付くまでに時間がかかることもあるのでその二倍の半年ほど見積もっておくと安心です。
ということで条件が割と良いと思われるケースでは半年+1か月の7か月前に査定に出せるようにしましょう。
■売り急ぎによる弊害を避けるために
不動産の売却は売り手の希望する言い値で取引が成功することはあまりありません。
購入希望者からは必ずと言っていいほど値引きの交渉が入りますし、リフォームの相談をされるなどして出費を伴い、正味の売却金額は希望価格よりも下がるのが普通です。
期間に余裕があればこうした交渉にも割と強気で望めるのですが、何らかの理由で急いで売りたい、あるいは現金を用意しなければならない時期が決まっているという場合は売り手側に「売り急ぎ事情」が発生する為、条件交渉で強気に出られません。
目の前の買い手候補を逃せば次の候補がいつ現れるか分かりませんから、相手の要求をある程度飲まざるを得ないという立場になるからです。
よく聞かれるのが相続税の納税期限までに換金したいというケースです。
相続税は相続開始から10月以内に納税しないとペナルティを課されてしまうので、どうしてもその時までには納税資金を確保しなければなりません。
ですからそのようなケースで例えば一軒家など売りにくい物件を換金したいならば、相続発生後すぐに不動産業者に査定をお願いする必要があります。
税金だけでなく、債権者に対する債務の弁済にも期限がありますから、これを逸すると遅延損害金などが加算されるのでこちらも同様です。
現金を準備したい期限が決まっているのなら、売り急ぎが生じないようにできるだけ早めに行動するようにしましょう。
■まとめ
今回は不動産を売る時に査定に出すタイミングについて考察してきました。
仲介契約の原則期間である3か月を指標にすることが可能なケースもあるかもしれませんが、一般的に売りにくいとされている一軒家、特に地方物件の場合は1年くらいは必要期間として見積もっておくようにしましょう。
売却活動に入る前には不動産業者の選定や物件の清掃など諸々の準備も必要ですから、査定に出すのはそれよりもさらに一か月ほど早い時期が適当なタイミングになりそうです。