自宅に住みながら売却計画を進めることはできる

住宅の売却が始まると、購入を検討する方の内覧に応じる必要があるため、一度賃貸住宅や親類の家などに引っ越して、空きの状態にして売却を進めることが多いです。

とはいえ、住みながら売却計画を進めることもできます。

住みながらの売却だと「内覧の際に神経を使うのでは?」「買い手がつきにくいのでは?」といった不安を持たれる方も多いようです。

ここでは、住みながら売却計画を進める方法と注意点をお伝えします。

■住みながら売却計画を進める

通常、住宅の売却は一度引っ越して、空きの状態にしてから進めることが多いです。

しかし、これだと住宅の売却後、その資金で別の住宅の購入を検討されている方にとっては2回引っ越しする必要が生じます。

そうでなくとも、住宅の売却は計画を立ててから実際に成約するまで時間のかかることが多いため、その期間住宅ローンと賃料の2重払いが発生するなど経済的な負担も大きくなってしまいます。

しかし、住みながらの売却計画で、売却が決まってから引っ越すとそうした心配はなくなります。

●住みながらの売却と空室にしてからの売却どちらが売りやすい?

上記のようなメリットはあるものの、住みながらの売却と空室にしてからの売却どちらが売りやすいかというと圧倒的に空室にしてからの売却の方が売りやすいです。

住みながらの売却計画を考える際は、この点によく留意して、通常以上に工夫する必要があります。

■住みながら売却の注意点

住みながら売却計画を進める際には、以下のような点に注意する必要があります。

●引渡し時期のスケジュールに注意

住宅の売却は計画を立ててから買主と契約し、お金を受け取るまでにどの程度の期間がかかるか読みづらいです。

こちらが「3ヶ月以内には売りたい」と思っていたとしても、購入希望者があらわれなければ年単位で売れないこともありますし、逆に2週間で売れることもあります。

売れてしまえば、お金を受け取るまでの間に引っ越しを完了する必要があります。

買主から契約から決済まで2週間程度の期間で済ませたいといった要望を受けるケースもあり、応じられなければ解約になるかもしれません。

住みながらの売却計画では、不動産会社の担当者ともよく打ち合わせして、引渡しの準備とスケジュール組みをしっかり行っておきましょう。

●内覧希望にはできるかぎり応じる

空室にしてからの売却では、鍵を預けておけばいつでも見学できますが、住みながらの売却だと住んでいる人の空いている時間にしか見学できません。

また、購入希望者の多くは空室の部屋を見る方が気楽に見学できるため、住みながらの売却物件の内覧には消極的になりがちです。

内覧を希望される方は、そうしたストレスを乗り越えて連絡をくれていると肝に銘じ、可能な限り内覧に応じるようにすると良いでしょう。

内覧に関しては、アポイントをスムーズに取ってもらうため不動産会社の担当者に事前に応じられる曜日や時間帯を伝えておくことをおススメします。

また、できるだけ早く売却したいと考えるのであれば在宅できない時に備えて、不動産会社に鍵を預けておき、不在の状態でも見学できるようにするかも検討してみると良いでしょう。

〇内覧はどこまで見せる?

住みながらの内覧で不安の声を聞くことの多いのが、部屋をどこまで見せれば良いのか?お風呂などの住宅設備機器はどこまできれいにしておくべきか?といった事です。

これに関しては、見学する方としてお気が引けるものですが、実際に購入するとなると数千万円の買い物となるためできるだけ細かく見ておきたい、というのが本音でしょう。

要望があれば全て見せるつもりで準備しておく必要があります。

〇子供がいる場合はどこかに預けることも検討しよう

内覧時に、売主側に小さな子供がいると余計な邪魔が入ってゆっくり見学できなくなってしまうことがあります。

可能であれば内覧時は実家に預けるなどして子供のいない状況を作れるようにすると良いでしょう。

●家の中はものを少なくしておこう

内覧時に家の中に生活感を感じさせるものが多くあると、購入意欲が下がってしまいます。

住みながら売却する際は、家の中のものを早めに処分しておき、可能なかぎりものの少ない状況にしておくことが大切です。

いずれにせよ、家が売れた際には引越しすることになるので、不要なものの処分は先になるか後になるかの違いでしかありません。

〇ペットを飼っている場合はニオイに注意

動物のニオイは、住んでいる人は慣れているため気になりにくいですが、初めてその部屋を訪れる人にとっては非常に気になるものです。

動物が苦手な人もいるので、内覧時には子供と同様どこかに預けておくか、ケージから出ないようにしておき、消臭剤などでニオイを極力減らすようにしましょう。

■住みながら売却の不安な点

空室にしてからの売却では内覧会などの負担も少ないですが、住みながらの売却だと売主が時間を割かなければいけないことも多くなります。

ここでは、住みながらの売却で売主が不安に感じやすいこととその解決策をお伝えします。

●突然内覧希望者が訪れてくることもある?

チラシやインターネットで売り情報を掲載していると、直接売り物件を訪れる人も少なからずいらっしゃるようです。

このように、突然家を訪ねてきた人に対しては、不動産会社と媒介契約を結んで売却を行っていることを伝え、同時に不動産会社の担当者に連絡して対応を依頼するようにしましょう。

媒介契約違反となる可能性もあるため、個人でそれ以上の対応をすることは避けるべきです。

●契約を結んだらすぐ引っ越さなければならない?

買主と売買契約を結んだら、お金を受け取るまでに引っ越す必要があります。

早ければ売買契約から1~2週間程で決済することもありますが、買主があらわれたらすぐに引越ししなければならないのでしょうか?

このことに関しては、できるだけ買主の要望に沿ったほうが売れやすくはなるでしょうが、すぐに引き渡すことが難しい場合は売主の都合で引渡しの時期を決めることもできます。

引渡しの時期が決まっている場合には事前に不動産会社の担当者に伝えておき、調整してもらうようにすると良いでしょう。

■まとめ

住みながらの売却は、住宅ローンや賃料の支払いの面や引越し費用の面など経済的には大きなメリットがありますが、空室にしてから売るより売りづらくなるのが一般的です。

今回お伝えした注意点に留意して、事前の準備と計画、不動産会社の担当者との打ち合わせをしっかり行っておきましょう。

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瀬川【山形不動産売却研究所】主任研究員

投稿者プロフィール

宅地建物取引士、FP2級技能士(AFP)資格を持っています。

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