空き家を更地にしてから売却するメリット・デメリット

長年、空き家のままの実家を売ろうかと一大決心をしたものの、傷んだ建物なら「解体して更地の状態で売るべきなの?」ということが気になるかもしれませんね。

空き家の売却方法には、「空き家を壊さずに現状で売る方法」と「空き家を取り壊して更地にしてから売る方法」と2パターンあります。

今回は、空き家を解体して更地にして売却する方法のメリット・デメリットを紹介しながら、気になる解体費用の内容についてもお伝えしていきたいと思います。

■更地にして売るメリットとは?

まずは空き家を解体してから売るメリットについて考えてみましょう。

◎売れるまでの間の管理の手間が減る

人が住んでいなくても手入れが必要な空き家。遠く離れているところにあると、なにかと不便ですよね。台風や強風などが原因で、屋根や外壁が剥がれることもあります。庭の樹木に虫が増えたり、庭木や軒先にハチの巣ができたりすると近隣の人に迷惑がかかってしまいます。たとえ人が住まなくても周囲の人への配慮として定期的に見まわらなければいけません。

そんな面倒な手間も空き家を解体し更地にすることで、買い手が見つかるまでの間も管理は不要になるので楽ちんですね。

◎買い手が早く見つかるかもしれない

土地の購入後に解体が必要な古家つきの状態よりも更地の方が買い手が早く見つかりやすいです。

空き家の大きさや建物の状況、天候状態によっても左右されますが、解体業者探しから契約、解体完了までは長ければ1か月程度はかかり、さらに解体費用の負担もあります。そんな「手間」「費用」がまったくない更地は、すぐに新居の建設を進めることができるので土地だけを探している人にとっては大変魅力的です。

◎古家が付いている土地よりは高めに売れる

空き家が建っている状態の家は「解体分」を考慮した分、安く販売することが多いです。一方、すでに解体してある土地なら、周辺の相場と同じような価格で売ることができるので古家つきよりは高めに販売することができるでしょう。

■解体するデメリットって?

それではデメリットについても見ていきましょう。

◎解体費用がかかる

不動産を売却して収入を得る前に、手持ちのお金で解体費用を出さなければならないのがデメリットと言えるでしょう。解体の費用だけでなく、庭木や庭石などがあれば、その費用も加算されます。

◎更地後、税金が高くなる

建物が建っている土地は住宅用地としての税金の軽減措置があるので税金が安くて済みますが、空き家を解体することで軽減は受けられずに税額はアップ。不動産が売れるまでは税金負担があるため、解体した後に売却に時間がかかれば税金の負担額が増えることに繋がります。

■空き家の解体費用ってどのくらい?

建物の解体費用は、さまざまな要因から変化します。

◎解体費用は木造の方が安い

取壊しがしやすいため、一般的には鉄筋など強固な構造よりも木造の方が解体費用は安い傾向にあります。場合によっては2倍近くも差が出ることがあります。

◎地域によっても違う

全国的に見ると、都市部の方が解体費用は高めと言えるかもしれません。一般的な木造住宅の場合、1坪単価が3万円台の地域もありますが、都市部だと4~5万円台と単価が高くなることが多いです。

◎立地条件が難しいと高くなる

立地条件によっては、取壊しが容易でないこともあるでしょう。重機を使用するときに難易度が高ければ価格に反映されて高くなってしまいます。

例えば、道路に面していない住宅、前面道路の幅が狭い住宅、道路から細い私道を通る住宅、隣家との距離が近い、道路と敷地の高低差がある住宅…など。

住宅密集地などでは、隣家に影響が出ないように足場や養生などの対策が必要になり費用に加算されます。

また、道路と敷地の関係性によっては、重機が入っていくのが難しいケースも少なくありません。その場合は、人力で取壊しの作業し、廃棄したものを運ぶのも手作業になります。それだけ人件費が増え、総費用は高くなる可能性があります。

それに、工事車両を停めるスペースがなければ駐車場をどこかに借りる、あるいは重機搬入のために交通誘導員を配備するなど、建物解体費用以外にもお金がかかることを想定しておく必要があります。

◎建物の解体以外に費用が発生することも…

庭木や庭石、ブロック塀、カーポートなど建物以外にも撤去しなければならないものがあると、それに応じた費用が加算されることになるでしょう。

■解体費用って安くなるの?

建物の規模や地域によって一概には言えませんが、一般的な木造住宅では100~200万円前後の解体費用がかかります。

不動産が売却できれば後からお金が入ってくるとはいえ、その前に自己資金で取りあえず捻出しなければならないので、費用は少なく抑えたいものですよね。どんなポイントに気をつければ安くなるのでしょう?

◎自分で処分できるものは自分で処分する

空き家内に残置してある家財道具の処分も解体業者に依頼すると、その分の費用が10~30万円くらい上乗せさてしまいます。

少し手間はかかりますが、使えるものは知人に譲る、リサイクルショップに買取してもらうなど、手間をかければその分の費用が安く押えられます。買取してもらうことができれば、逆にお得ですよね。

◎近所の解体業者を選べば移動費がかからない

解体を依頼する業者が空き家からの距離が遠いと移動費が計上されます。

業者の移動時間もかかるので日数が長めとなるなど、総費用に影響が出る可能性があります。地域によっては身近な解体業者の数が少ないかもしれませんが、できるだけ現場から近い業者に依頼するとコストダウンに繋がります。

◆まとめ

空き家を解体して更地にして売却して売り出す方法は、買い手が見つかりやすく、売却までの間の管理が楽になるというメリットがあります。ただ、更地にするには一時的に費用がかかるのがデメリットです。

「売却しよう」と決めたとしても、思い出のある実家の解体は後ろ髪をひかれる気持ちでなかなか決断ができないかもしれません。

自分では決断が難しいなら、地元で空き家の処分に強い不動産会社に相談すれば、プロの視点でサポートしてもらえ解決の糸口になります。思い切って行動に移すことで精神的に楽になることもあるかと思います。

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〒990-0834 山形県山形市清住町3-1-23

白井【山形不動産売却研究所】研究員

投稿者プロフィール

不動産関係や住宅リフォーム会社に長く勤務していました。

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