解体してから売ったほうが良い?古い家屋つきの土地

平成時代も30年が過ぎたいま、「建築時期が昭和」という住宅はかなり古い建物と思われてしまうでしょう。築年数だけで考えると解体して更地にしてから売ればいいような感じもしますが、そのまま「古家付き土地」として売り出すこともできます。

ただ、古家付き土地と中古住宅の意味合いが曖昧なこともあって、「いったい何が違うのか?」と疑問に思う方も多いかもしれません。

そこで、それらの違いや「古家付き土地」として売り出すメリットやデメリットなどについてお伝えしていきたいと思います。

建物の資産価値はどのくらいでゼロになるか

一般的な木造の戸建住宅は、建築後20年が過ぎると「建物の価値がゼロ」と言われることが多いです。しかし、これは「法定耐用年数を過ぎた」という目安にすぎません。その年数が過ぎたからといって「建物が壊れる」「住むことはできない」という意味ではありません。あくまでも、不動産取引のうえで「価値がどのくらいか」を示す方法の一つなのです。

実際には、築年数が30年40年とかなり経っていても住んでいた人のメンテナンスが行き届いていれば、それほど古い家に見えないこともあるでしょう。外壁や内装のリフォームがされていれば、見た目年齢が若いことも多いかと思います。

逆に、空き家歴が長くメンテナンスがされていない物件は、リノベーションしても住めないと「解体するしか方法がない」ということもあります。

一概に、築年数だけで「このまま住めるのか?」「解体するべきか?」は判断できないのが現状です。

「古家付き土地」「中古住宅」何が違う?

不動産情報を見ていると「古家付き土地」「中古住宅」と違った記載がされているのを見かけることがあるかもしれません。どちらも更地ではなく、建物が土地上に存在する状態なのですが、いったい何が違うのでしょうか。

「古家付き土地」

木造住宅の耐用年数を経過していることから「建物はほぼ価値がない」という状態の物件のことを指します。建物価格がゼロなので、土地をメインにして売却します。そのため、解体する費用を含ませる意味で周辺相場よりも安く価格設定されていることが多いです。

しかし、人によっては「フルリノベーションするから古くてもOK」というケースもあり、古家付き土地を安く購入したいと考えている人もいます。

「中古住宅」

一般的な法定耐用年数を超えていない築年数20年に満たないような住宅はまだまだ価値があると判断されます。そんな場合には、基本的には中古住宅として「建物+土地」で建物を使ってもらう前提で売ることになるでしょう。

古家付き土地として売ることもできる「メリットは?」

空き家の期間が長く建物の価値がなさそうなら「古家付き」で売り出すこともできます。売却する側のメリットについて考えてみましょう。

すぐに売りだせる(解体のコストと期間がかからない)

建物を解体しなくていいのですぐに売りだせるメリットがあります。建物の規模にもよりますが、一般的な木造住宅は解体費用が100~200万円前後かかります。すぐにそれだけの現金を用意するのも大変ですよね。

しかし「古家付き土地」としての売り出し方法なら解体のお金を準備する必要もなく、「売ろうかな」と思うタイミングで売却が可能です。

買い手がつくまでは「家屋」があるから税金が安く済む

物件を売り出してから買い手が見つかるまでは所有者は自分のまま。当然ですが、その間はずっと固定資産税がかかってしまいます。

しかし、古い家とはいえ建物がまだ存在している土地なので「住宅用地」としての軽減措置を受けることができ、更地評価よりも税金が安く済みます。売れるまでに時間がかかっても負担があまりない方法と言えるかもしれません。

通常の中古住宅の売却と違い瑕疵担保責任の免除ができる

一般的な中古住宅の場合、売買後のトラブルを避ける意味で瑕疵担保責任という売主側の責任があります。

しかし、古家付き土地は、基本的には「土地」をメインにして売り出しています。「購入後に住む」というケースでも、買主と合意があれば瑕疵担保責任を免責にしてもらうパターンが多いです。

デメリットは?

一方のデメリットについてお話しします。

解体費用も含めて安く売らなければならない

土地としての査定となるだけでなく、解体費用を差し引いた低めの価格での売却になります。そのため、周辺の土地相場よりも100~200万円は低めの価格となるので大きな収入は期待できないでしょう。

「古家」があるから売りにくくなることも…

「新しく家を建てたい」と土地を探している人にとっては、古家の存在がネックになることも多いでしょう。「古家を解体する・整地をする」という期間がさらにプラスされる古家付きよりも、すぐに建てられる更地の方が好まれる傾向にあるので、売りにくい可能性もあります。

土地について曖昧なことが多い

建物については、瑕疵担保責任の免責でトラブルを避けることができますが「土地」については後からトラブルが起きるリスクもあるでしょう。古家付きの場合、建物の建築時期はかなり古いです。築年数が40年以上も前なら、隣家との境界が曖昧であるケースも多いです。

しかも、地盤調査をしてから売り出すこともできません。土中に撤去が必要なものが埋まっている可能性もゼロではありません。場合によっては、買主に対して撤去費用としてお金を出さなければならないケースもあるでしょう。

売買契約を交わすときには、どこまでが責任の対象になるかをじゅうぶんに話し合う必要でもあります。

まとめ

古家付き土地で売るべきかは、メリットだけでなくデメリットもしっかり考えましょう。

また、自分だけで考えてもわからない点が多いのが不動産売却。第三者的な視点で適切なアドバイスをしてもらい、売却をサポートしてくれる信頼できる不動産会社を選ぶことがもっとも大事です。

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白井【山形不動産売却研究所】研究員

投稿者プロフィール

不動産関係や住宅リフォーム会社に長く勤務していました。

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