空き家になった実家を「とりあえず相続」してしまったあなたへ

「空き家」を取り上げたニュースや新聞、雑誌を見る機会は多くなってきました。管理されていない空き家がさまざまな問題を起こすと社会的にも深刻となっています。とはいえ、なんとなく他人事のように思っている人もいるのではないでしょうか。

しかし、空き家問題は実家の相続などで誰にでも起こる可能性があります。すでに実家を離れて独立している子供世代にとっては「どうすべき?」と悩みの種となるケースも多いです。すぐには決断できず、「とりあえずそのままに…」と安易な選択で空き家にしているまま時が過ぎていくこともあるでしょう。

しかし、実際に社会問題になっているだけあって「空き家の放置」は大変な問題ばかりなのです。

そもそもなんで空き家にするのか?その理由

すでに独立してマイホームを持っている子供にとっては、相続したからと言って実家に住むという選択肢はほぼないのではないでしょうか。しかし、さまざまな理由からとりあえず空き家にしている人が多いです。

思い出が詰まっていて壊したくない

誰も住んでいない家を「空き家」とひとくくりに言いますが、自分にとってはとても大事な場所ですよね。親が亡くなったとしても、長年住んでいた実家が残っていれば親との思い出にいつでも触れ合うことができます。再び住むことはなくても、実家の存在が亡き親と自分とを繋いでくれるような感じがするのかもしれませんね。

思い出がたくさん詰まったそんな実家を壊すことには、やはり抵抗を感じる人が多いようです。「思い出が消えるようで壊したくない」という理由から、全国では空き家数がかなり増えています。

売却しようか決めかねている

住む予定がないなら売却すれば良さそうですが、そんなに単純に決められないもの。「もしかして将来住むかもしれない」「人の手に渡るのはもったいないかも」と売却を決めかねている人もいるでしょう。

特に、実家が遠方にあるケースだと売却する行動自体が面倒に感じるのかもしれません。「どうしようか?」と迷っているケースもあるようです。

相続で引き継いだけど相続人同士で意見がまとまらない

自分一人が相続人のケースなら自分だけの決断で済みますが、兄弟が多いと意見がまとまらないこともあるものですよね。兄弟それぞれが離れたところで暮らしていると話し合いの場もなかなか設けられません。

「残していたい」「売却したい」「貸家にすればいい」など意見がバラバラだと、意見が一致するまで放置されてしまうことになります。

空き家にしておくと発生するデメリット

空き家にしておくと、建物を所有している人だけでなく、近隣住民にまでデメリットと思えることが増えてきます。

固定資産税がかかる

「住んでいる」「住んでいない」にかかわらず、家を持っているだけで税金を支払わなければなりません。空き家の場合は住宅が建った状態なので、「住宅用の土地」として税金の軽減を受けることもできます。更地にした場合よりも税金が安くすむと、空き家にしている人が多いでしょう。ただ、老朽化が進んで「今にも壊れそう…!」という危険な空き家に変化すると、特定空き家として自治体から解体の勧告をされることもあります。

誰も住んでいなくても管理が必要

自分が居住している地域より離れていると「空き家」の様子が見えません。しかし、人が住んでいなくても管理が必要。遠方に住んでいれば、定期的に訪れて建物のチェックをするための交通費が必要になりますよね。実家までの距離にもよって違いますが、何度も訪れると費用がかさんでしまいます。

空き家のままだと老朽化が急速に進む

誰も住んでいない家は、風通しが悪く湿気が溜まり、家の劣化が激しくなります。キッチンやお風呂、トイレも動かす頻度が少なくなり、壊れやすくなります。

庭の草木が生い茂る

庭があると雑草が生い茂り、環境が悪くなりやすいでしょう。樹木が育ち、隣家へ草や枝が伸びて迷惑になることもあります。

また、樹木が生い茂ることで「空き家だ」と不審人物が潜む場所のターゲットにされることもあります。不審火により火事が起こると近所に莫大な迷惑がかかるかもしれません。

虫などが発生する

空き家になることで、建物の老朽化がひどくなり、害虫が発生するリスクが高まります。古い家の軒先にできるハチの巣、庭の草木に発生するクモの巣、そのほかハエやゴキブリなど…。害虫と言われるような虫類は、大量発生すれば近隣への迷惑にもなるものですよね。実家の親と親しくしていたご近所さんとトラブルになるのは、避けたいものです。

まとめ

大事な思い出のある実家なので、「どうするか」は簡単には決断できないかと思います。ただ、「空き家として残していく」のはデメリットが大きいと言えるでしょう。

とりあえず所有しているだけで税金や管理費などのコストはかかるのはもちろんですが、空き家の近くに住んでいる人に迷惑となってしまいます。

遠方では気付きにくい空き家の老朽化は、親が生前お世話になっていたご近所さんとの溝を深める原因にもなるのです。「残された実家のせいで子供が悩む」というのも亡くなった親が生前望んでいたことではないでしょう。

また、空き家にしたまま年月が過ぎると、「空き家が危険」「解体しなければ」と問題が大きくなってくるかと思います。それにともない精神的な負担と経済的な負担も増えることになります。老朽化が進んで周囲に迷惑をかける前に、「売る」という決断をすれば、そんな悩みを持つこともないでしょう。

もう住む予定がないなら、早めの売却を考えてみてはいかがでしょうか。

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白井【山形不動産売却研究所】研究員

投稿者プロフィール

不動産関係や住宅リフォーム会社に長く勤務していました。

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