離婚が決まった!共有名義にした不動産はどうなる?

「3組に1組のカップルが離婚している」

日本でも離婚は珍しいことではなくなってきています。

いざ、離婚が決まると子供の親権問題やお金の問題を話し合うことになりますが、マイホームを夫婦共有名義で購入しているケースでは話がこじれやすいので注意が必要です。

■協議離婚で話し合われる「慰謝料」と「財産分与」

日本における離婚の仕方は、その9割が話し合いによる協議離婚です。参照データ:厚生労働省 平成21年度「離婚に関する統計」の概況

協議される内容にはお金の問題も含まれており、それらは「慰謝料」や「財産分与」という形で話し合いがされます。

●離婚における慰謝料

離婚時に支払われる慰謝料は、離婚に伴う精神的苦痛に対し、支払われるもので、その相場は50万円〜300万円と言われています。

ただし、慰謝料は双方の話し合いのもとその額が決められるのが一般的で、浮気や不倫の場合相場よりも高くなる一方、慰謝料が支払われないケースもあります。

●離婚における財産分与

一方、財産分与は夫婦で購入した家や車、貯めてきた貯金、掛け金を支払ってきた保険金などを夫婦で分けるものです。

夫婦で年収が大きく異なっていようと、婚姻中に形成された財産については夫婦の共有財産と考えられ、離婚の際にはそれぞれの貢献度に応じて公平に分配されます。

共有財産の中には、夫婦の共有名義の不動産が含まれるのはもちろん、どちらか片方の名義になっている預貯金や車、株式なども財産分与の対象となりえます。

この辺りのことについては本サイトでは詳しく取り上げませんが、財産分与の対象となる財産に不動産があると、話がややこしくなりやすいです。

■離婚で発生する共有持分不動産のトラブル

婚姻関係にある時に不動産を購入し、共有持分にしていると、売却手続は複雑になりやすいです。

●共有持分をどうする?

共有名義の家に住んでいた場合、不動産はその額が大きいことから簡単に持分をどちらか1人に移すことができません。

もちろん、そのまま2人で住み続けるわけにもいきません。

共有持分の家を売却する場合は双方の承諾が必要となります。そのためどちらかが売却に反対していると話を進めることができず、難航します。

また、仮に売却することで意見が一致しても、住宅を売却して得られる資金が住宅ローンの残債に満たない場合には、残債分を手持ちの現金から支払う必要があります。

いずれにしても簡単なことではありません。

●連絡が取れなくなる

また、離婚手続きは夫婦双方精神的に相当疲弊するものです。

子供の親権の問題や養育費の問題で話し合っている内に、不動産について決めてくことを忘れ、そのまま連絡を取れなくなってしまうことがあります。

こうなると夫婦双方の承諾を得ることができず、売却もできなくなります。

●どちらかが再婚した後に相続が起こるとさらに複雑に

上記のように連絡が取れないまま放置したまま数年が経過し、再婚。

新しく子供をもうけたり、連れ子がいたりして相続が起こるとその子供達全員が共有持分を持つ事態にもなりえます。

●差し押さえのリスクも

不動産について話し合いがなされないまま時が過ぎ、夫婦どちらかがローンや税金を滞納してしまうことで、不動産そのものが差し押さえられてしまうリスクもあります。

■不動産の所有名義の変更が難航する理由

家を共有名義にしていた場合、どちらかの単独名義にすることで解決できますが、不動産の所有名義を変更するのはそう簡単なことではありません。

上記で少し触れていますが、家を購入する際は住宅ローンを組んでいることがほとんどで、所有名義の変更には銀行の承諾が必要となるのが一般的だからです。

離婚した後、家族で住んでいた家がある場合、子供の親権を持つ母親が引き続き住むことを希望するケースが多いです。

銀行としては新しく住宅ローンを組めるのであれば所有名義を変更することにも納得するでしょうが、名義を持つのが専業主婦の奥様のようなケースだと、年収の基準を満たすことができず、借り換えは難しくなります。

●住宅ローンの残債が問題の種

上記のような理由で奥様とその子供が住むために名義を変更しようにも借り換えが難しく、家を売却しようとしても住宅ローンの残債があるとそう簡単ではありません。

住宅ローンを組んで購入した家を売却する場合、住宅ローンの残債があると残債を完済してからでないと売却できないからです。

売却で得た資金で残債を完済できるのであれば良いですが、買って数年しか経っていないケースだと家の時価より住宅ローンの残債が多いのが殆どです。

差額分をどちらから支払うのかも問題ですし、仮に売却できたとしてもまとまった資金のないまま新しく家を探さなくてはならない、ということになりかねません。

いずれにせよ、共有名義の不動産があると離婚によるお金の問題の解決難易度は大きく上がってしまいます。

この問題は全てのケースに当てはまる解決策などないため、夫婦でじっくり話し合う必要があるでしょう。

■離婚による不動産の財産分与で発生する税金

離婚したことによる財産分与で不動産の名義を変更する際には税金が発生するケースがあるので注意が必要です。

●贈与税

離婚による財産分与では、贈与税は原則かからないので安心して大丈夫です。

ただし、財産分与により分けられた額が夫婦それぞれの貢献度と比較して課題すぎる場合には贈与と見なされるケースもあります。

●譲渡所得税

離婚による財産分与で「財産分与の時の不動産の時価」が「不動産を購入した時の時価」よりも高くなっている場合、その差額に対して譲渡所得税がかかります。

ただし、財産分与した不動産が居住用不動産(マイホーム)である場合は一定の要件のもと、3,000万円分特別控除を受けることができます。

■まとめ

婚姻生活中にマイホームなど不動産を購入しており、またその不動産を共有名義にしていると離婚時の手続きが複雑になります。

離婚時には子供の親権問題や養育費の問題に目がいきがちで、不動産についてじっくり話し合いされないケースもあるようですが、後々のトラブルに発展しやすくもあるため注意が必要です。

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〒990-0834 山形県山形市清住町3-1-23

瀬川【山形不動産売却研究所】主任研究員

投稿者プロフィール

宅地建物取引士、FP2級技能士(AFP)資格を持っています。

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