住宅ローンの残債があっても住宅を売却することはできる?
通常、住宅ローンの残債のある住宅を売却する際には住宅ローンを完済しないといけません。
とはいえ、住宅ローンの残債があっても住宅を売却する方法もあります。
ここでは、その方法についてお伝えしたいと思います。
■住宅ローンが残っていると自宅を売れないのはなぜか?
最近では住宅ローンの金利も安くなり、住宅購入時に頭金0円、満額住宅ローンで住宅を購入するケースや、頭金を入れたとしても1割未満であるケースが増えています。
住宅ローンを組むと、購入した住宅を担保として提供するため抵当権が設定されます。
そして、住宅を売却する際にはこの抵当権を抹消する必要がありますが、抵当権を抹消するためには住宅ローンの残債を完済するのが条件となります。
●新築住宅は購入した瞬間価値が落ちる?
一戸建てにせよ、マンションにせよ、新築住宅は購入した瞬間に1割〜2割ほど価値が落ちるのが一般的です。
例えば、3,000万円で購入した新築住宅は購入した瞬間に2,400万円〜2,700万円程度にまで価値が落ちているわけです。
また、住宅購入時には登記費用や住宅ローン費用、火災保険費用など住宅本体価格以外に1割程度の費用が掛かります。
さらに、住宅ローンを元利均等方式で返済している場合、最初は元金の減りが遅い仕組みになっています。(参考サイト:フラット35-元金均等返済と元利均等返済の違い)
●築年数が浅い内の売却は現金が必要
上記例のように、新築住宅を購入してから年数があまり経っていない内に住宅を売却する場合、住宅の売却資金で住宅ローンの残債を完済できることは少なく、足りない分は手元にある現金から支払う必要があります。
現金を用意できないと、そもそも売却できないものが原則です。
■住宅ローンの残債があっても住宅を売却する方法
一方で、現金を用意できなくても住宅を売却できる場合が2つあります。
1つ目は新しい住宅を購入することで新しい住宅を担保として提供し、足りない分を買い替えローンで借りる方法です。
そして、2つ目は住宅ローンのように担保の提供を必要としない無担保ローンで残債を借りる、という方法です。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
●買い替えローン
買い替えローンは、その名の通り元の住宅を売却して新しく住宅を購入する時にくむローンで、金融機関によっては商品として用意されているケースがあります。
通常は、上記のような買い替えのケースでも一度住宅ローンを完済して元の住宅を売却し、通常の住宅ローンで新しい住宅を購入します。
しかし、この進め方だと利用者は一度元の住宅から賃貸住宅に引越して、新しく住宅を購入した後、また引っ越す必要があります。
これでは無駄な手間と費用が発生してしまいますが、買い替えローンを使えば元の住宅に住みながら新しい住宅を購入して、元の住宅の売却と新しい住宅の購入を同時にしてしまうことも可能です。
●買い替えローンで足りない資金を借りる
また、買い替えローンでは元の住宅の住宅ローンの内、足りない分を新しい住宅を購入する費用の一部として借りることも可能です。
ただし、この方法では住宅の価値以上の借り入れをする可能性が高く、審査が難しくなりやすいです。
また、借りられたとしてもオーバーローンの状態で始まるため、再度買い替えする必要が生じた時はもっと多額の自己資金が必要になる点に注意が必要です。
●無担保ローン
住宅を担保として提供する住宅ローンのように、お金を借りるにあたって担保が必要なローンを有担保ローンと言い、担保を必要としないローンを無担保ローンと呼びます。
身近なものではカードローンなども無担保ローンとなります。
無担保ローンは住宅ローンに比べると金利が高いため、多額のお金を借りるのには向いていませんが、どうしても現金が用意できない場合には利用を検討してみると良いでしょう。
■最悪のケースでは任意売却の利用も検討しよう
職を失ったり、支出が増えたりして住宅ローンの返済の目処が立たなくなった場合には金融機関(もしくは保証会社)と交渉して住宅を売却する任意売却という方法もあります。
●任意売却と通常の売却の違い
通常の売却による方法では売却代金を住宅ローンの残債に充ててもなお残債が残る場合には、残額を現金や別の借り入れで支払う必要があります。
そうしないと抵当権が抹消できないからです。
一方、任意売却は、売却代金でローンを支払ってもなお残債がある場合でも抵当権を解除してもらうことが可能で、残った残債は余裕のある額や期間に設定し直してもらうことができます。
●任意売却の利用条件
任意売却は住宅ローンの延滞が続いた時に行われます。
住宅ローンの延滞が続くとその対象となる住宅は差し押さえられ、競売されることになりますが、競売となると通常の方法による売却より安い価格での売却となってしまいます。
そこで、競売よりも高い金額で売れば多く回収できるので抵当権を外してほしい、と持ちかけるのが任意売却です。
任意売却は住宅ローンの残債があっても売却できるとはいえ、かなり特殊なケースでしか利用できないということです。
住宅を売却しても住宅ローンの残債が残ってしまう場合には借入金で賄うなど他の方法を検討したほうが現実的です。
■まとめ
住宅を売却して、その売却代金をあててもなお残債が残る場合には現金や借入金で賄う必要があります。
任意売却は特殊なケースでの利用となります。
住宅を売却して、新しく住宅を買うのであれば買い替えローン、そうでない場合は無担保ローンを利用する方法がおすすめです。