特定空き家って何?放置しておくと大変なことに…!
「親からの相続」のように自分が意図したわけではない状況で不動産を所有してしまうことは、多くの人にあり得ることです。なかでも、相続した不動産が遠方にあると「なんとなく放置してしまう」ということもあるかもしれません。空き家にしておくことは、社会的にも問題と分かっていても理想を詰め込んだマイホーム購入とは違った感情が動くもの…。「どうすればいいか分からない」と考えているうちに期間が経っている人も多いでしょう。
しかし、空き家の放置が長引くことで「特定空き家」に指定されるとさらに厄介なものとなってしまうかもしれません…。
■特定空き家ってどんな「空き家」を指すの?
「特定空き家」についてお話しする前に、そもそもどんな家を「空き家」というかについて見ていきましょう。
国が定める空き家に関する指針によると「年間を通して人が居住していない・使われていない」という状態の住宅が「空き家」として考えられています。親からの相続で遠方の不動産を所有している場合、時々管理をしていても基本的には「居住していない」「使っていない」ので空き家と言えます。
ただ、ひとくちに「空き家」と言ってもさまざまなケースがあるものですよね。
誰も住まなくなった頃から適切に管理がされていれば、外観も屋内もそれほど傷んでいないでしょう。
しかし、「遠方にある」という理由から管理の足が遠のくと建物はどんどん傷んでいきます。庭があれば草木の生い茂りは相当なものとなるでしょう。管理が行き届いていない「空き家」は、次第に周囲に危険や不快感を及ぼすものに変化してしまうのです。
国土交通省が発表しているガイドラインによると、「特定空き家」は次のような住まいのことを指します。
- 建物が倒壊してしまうおそれがある
- 管理状態が適切でないため不衛生
- 空き家の存在が周辺の景観の悪さに影響している
日本で問題になっている空き家のすべてが特定空き家ではありませんが、遠方にあるため管理ができない期間が長引く…、そんな「長年の放置」から、特定空き家が生みだされている現状です。「なかなか管理ができない」という遠方の不動産の多くは、特定空き家となる可能性を持っている予備軍と言えるのかもしれませんね。
■特定空き家になったらどうなるの?
「特定空き家」と判断される住宅は、管理が不十分で周辺への悪影響が懸念されているものです。行政側で「この空き家は早期になんとかしないと危険だ」と判断すれば、「すぐにでも対処して欲しい」と通知がきます。しかし、それを放置していると強制的に解体が行われるケースもあります。もちろん、解体費用は所有者が支払わなければなりません。
解体した後には、建物がない「更地」となり固定資産税もあがってしまうのです。
■どんな空き家が特定空き家の予備軍となる?
いったいどんなパターンで「特定空き家」となってしまうのでしょうか。
◎遠方だから売却が面倒だからとりあえず放置パターン
実家を相続したときには、多くの人が「思い出が詰まっている家だから売却したくない」と考えるのではないでしょうか。それに、離れている不動産の売却は面倒な感じがするかもしれません。いろいろと考えていると考えがまとまらず、取りあえず「空き家」を選択する人が多いかと思います。
はじめの頃は、親の遺品整理などで定期的に訪れるかもしれませんが、仕事や子育てで「遠方に管理に行く」ことが億劫になってくるでしょう。
しかし、人が住まない住宅の傷みはとても早いもの。通気が不十分で内部が劣化したり、外壁が剥がれたり、木部が腐ったりと老朽化が進むことは避けられません。庭がある住宅だと草木の手入れができなく、誰が見ても「空き家」と分かるほどになってしまいます。隣家の敷地にまで枝が伸びる、道路へはみ出して通行人への影響が出るなど、周囲への迷惑ともなるかもしれません。
遠方にあるので空き家を放置している所有者は気づきにくくても、周囲の人に不快感を持たせてしまうのが特定空き家です。
◎更地にすると税金が高くなるからパターン
「更地にすると固定資産税が高くなるから」と考え、建物の劣化が進んでいるのを知りつつも解体せずに放置しているパターンもあるかもしれません。
一般的には、住宅が建っている「住宅用地」なら、税金の減額措置が働きます。更地にするよりも税金額が低くなるのです。ただ、これは通常のケース。先ほどお伝えしたように、「危険・不衛生・悪影響」と判断された特定空き家は、建物が建っていても減額が適用されないことと法で定められています。
つまり、特定空き家と判断されてしまえば、建物を壊さず放置している間の固定資産税は高いですし、行政から「解体してください」と命令がくだれば解体費用もかかるのです。税金対策で建物を取り壊さずに放置していると、最終的に費用が高上りとなるかもしれませんね。
■まとめ
「実家を売りたくない」「遠方の管理が面倒」など、放置したまま期間が経つと特定空き家になってしまうかもしれません。
相続や転勤、親の病気などさまざまな事情で遠方の不動産を所有することもあると思いますが、まずは「将来的なこと」を視野に入れてじっくり考えてみましょう。
「いつかは利用する」ということであれば、空き家が劣化しないように定期的な管理をしていかなければなりません。交通費をかけて自分で管理に訪れるか、管理をしてくれるサービスを受けるかなど、選択肢はいくつかありますが責任を持って管理することが必要です。
しかし「将来的に住むことはないだろう」ということであれば、建物の老朽化が進まないうちに売却するのが得策と言えるでしょう。