不動産を売却した時は確定申告が必要って本当?2019年版
こんにちは。税理士の林です。
今回のテーマは「不動産の売却と確定申告」について。
<ご相談の内容>
私は、現在所有している自宅(戸建)を今年中(2019年12月31日まで)に売るつもりです。
不動産を売却すると確定申告が必要とのことですが、私はサラリーマンのため確定申告の知識は無く、不安です。
確定申告の基本的な概略を教えてください。
確定申告をしなかった場合にどうなるのかについても知りたいです。
<税理士 林の回答>
サラリーマンは原則「確定申告」不要
「確定申告」とは、1年(1月から12月)で個人が経済活動によって得た儲け(所得)をすべて分類・集計して、所得税額を計算し、その結果を税務署に申告(報告)する手続きをいいます。
会社などにお勤めのサラリーマンの方は、通常、会社が行う「年末調整」という手続きで、その年の所得税額が確定し、年末調整還付金を受け取ることで、税額計算と納税が完了します。
「年末調整」とは、毎年11月~12月上旬にかけて会社から各従業員に配布される書面に、配偶者(妻または夫)の給与収入金額、子を含む扶養している親族の氏名・生年月日、生命保険料や地震保険料の記載されているハガキを提出する、あの手続きです。「年末調整」の結果、払い戻される還付金を「年末調整還付金」といいます。
基本的に1年を通して、1つの会社等のみから給与をもらっている正社員のサラリーマンの方であれば、年末調整で税額計算と納税は完了し、(所得税の)確定申告は必要ありません。
不動産を売却した年は「確定申告」必要
ところが、ご相談者のように、2019年中に不動産を売却した場合には、年末調整だけでは税額が確定しません。
そのため「確定申告」を行うことで、税額を確定させるわけです。
年末調整済の源泉徴収票を会社からもらった上で、自分で税額を計算し、確定申告書を税務署に出し、納税を行う必要があるのです。
なお2019年分の所得税確定申告は、翌年2020年の3月15日までに申告と納税するのが原則です。
ただし、納税については振替納税(預金口座からの引き去り納税)を選択することで、約1ヶ月後の4月20日まで延期することができます。
申告しなくても税務署は分からない?
不動産売却があったことなんて、自分で確定申告しなければ税務署にわかるはずないと思っている方がいるかもしれません。
そういう方に、お伝えしたいのは、「税務署(ひいては国税局、国税庁)の情報収集力をあまく見ないでください」ということです。
税務署は定期的に法務局の登記情報をチェックして、不動産の所有者情報に変更がないかを確認しています。
それを裏付けるように、不動産を購入し、所有権移転登記をしてから数ヶ月後に税務署から購入した不動産についての「お尋ね」という文書が届きます。
その文書がピンポイントで買い主に届くということは、税務署が定期的に法務局に集まる登記情報をチェックしているということにほかなりません。
不動産を購入したら、買い主は、まず法務局に行って、その不動産の所有者として所有権移転登記をしますよね。
税務署は、この買い主が必ず行うであろうアクション(行動)から、前所有者が不動産を売却したことを確認します。
税務署では、不動産の売り主としてマークしている前所有者から確定申告がなければ、当然に申告がないことについて連絡してくるでしょう。
納税していないことが発覚すれば、罰金を払うことになります。
税務署の情報収集力は非常に強力だということをぜひ覚えておいてください。
まとめ・今年中に家を売るなら来年3月15日まで確定申告すべき!
不動産を売却したら確定申告が必要です。
申告せず、納税していないことがバレたら罰金です。
確定申告をしなかったときに課される罰金については、また別の機会にお伝えします。
今年、家を売るなら、来年の3月15日までに必ず確定申告してくださいね。
【免責事項】
本稿は執筆時点の法令にしたがっていますが、すべての適用要件を網羅的に記載したものではありません。本稿により損害が生じたとしても一切責任を負いません。
特例の適用にあたり、税理士や税務署など責任を持ってアドバイスしてくれる専門家に必ず相談してください。